徒歩ダー・サンカクを秋田・山形県境の国道で見つけたとき、彼は片手に荷物のカートを、そしてもう片手には1本の傘を持ちながら歩いていました。
サンカクは私のすすめでミンタロに2泊滞在することになり(彼の1日の旅費を考慮して、徒歩ダースペシャル料金1泊500円!)、徒歩の旅ではなかなか周れない山寺と蔵王温泉大露天風呂へ、他のお泊りの方たちと一緒にクルマで連れていってあげました。
体調のことを聞くと、カートを引き続ける手はバネ指になり、足の裏は慢性的に痛みがあるということでした。1日30キロ、8時間近く、ほとんど毎日休みなく歩き続けるのですから、その過酷さは想像以上なのかもしれません。
泊るのは道の駅や野宿という彼にとって、ミンタロでの滞在は、ほんのすこしは骨休めになってくれたらと思いました。
いよいよ次は仙台へ向けて旅立つ朝、ルートの都合で10キロくらいの同じ道のりを逆戻りしなければならない区間だけ、私がクルマで送ってあげることにしました。
カートの荷物にはミンタロ滞在中に同宿のチャリダーから描いてもらった「日本一周」の旗をくくりつけ、

そして、やはりもう一方の手には1本の傘…

すでに色あせた水玉模様の女性物の傘です。杖のかわりにしては中途半端な長さで、カートを引く反対側の手を、いつもふさいでいるのを見かねて、「その傘、大事な傘なの?」と私がたずねると、彼が話してくれました。
北海道を周っていた途中、あるお店に立ち寄って雨の中を歩き出そうとしたところ、お店の女性が「よかったらこの傘持っていって」と差し出してくれたそうです。
雨具を持っていた彼はていねいにお礼を述べて、傘は受け取らずにその店を後にしたのですが、数十メートル歩いたところで、その女性が雨の中を走って追いかけてきてくれて、「やっぱり心配だから」と、この傘を手渡してくれたのだそうです。
サンカクはそれ以来、何ヶ月、何百キロの道のりを、この傘を手に歩き続けてきました。何度か「もう置いていこう」と思ったそうだけど、できなかったそうです。
「じゃぁ、私が大事に預かっていてあげるよ、いつか日本一周を果たして、また山形へ戻ってくるときまで」という提案に、ようやく彼はまようことなく「じゃぁお願いします」といって、私の手に、その傘を残していきました。

今、思い出してあらためてその傘の柄の先を見たら、もう何センチも擦り減って、中の芯が見えてました。
サンカクとともに北海道、青森、岩手、秋田を旅してきた傘です。
サンカクが再びミンタロに戻ってくる日まで、大切に、大切に預かっておこうと思っています。
8月23日、大曲の花火大会の帰り道、秋田・山形県境でひとりの徒歩ダー(徒歩旅行者)と出会いました。
沖縄出身の彼のニックネームは「サンカク」。
出会ってから3日後、8月26日にサンカクはようやく山形に到達して、ミンタロハットで2泊、しばしの骨休めとなったわけです。
ミンタロ滞在中に旅人の先輩たちから、温かい人の好意はよろこんで受けるんだよ、というアドバイスを受け、
そして、これを掲げて歩いたら旅がかわるよ、と「日本一周徒歩の旅」という旗を作ってもらって、8月28日の朝、再び日本一周の続きへと旅立っていきました。
1日の踏破距離は30キロ、また、使えるお金は1日1000円まで、という厳しい旅が続きます。
そのサンカクから昨日、うれしいメールが届きました!
4月にまずは北海道1周からはじまった彼の旅は、青森、盛岡、秋田と南下し、ここ山形を発った後は仙台、福島、新潟、佐渡へと続いていたのですが、なんと今は富山にいるそうです!
私が思ったよりずっと順調な感じで、日本一周…の旗のおかげで、いろんな方から声をかけてもらったり、差し入れをいただいたりしているということでした。
ミンタロに着いたときには体全体ががきつそうで、心配していましたが、なんとか元気に旅を続けているようです。
そしてこの先は、金沢まで行ったらいったん東へ折り返し、長野、群馬、栃木と、いよいよ関東の方へ続きます。
究極の旅のスタイル、徒歩ダー… 旅人のオアシスとして、いつかそんな旅人に訪れてもらいたいと思っていたミンタロハットの夢もかないました。
彼の目的が無事達成される日まで、遠くから見守り続けたいと思っています。
あなたの町で「出会いと日本を感じる 日本一周(沖縄から)徒歩の旅」という旗を荷物にくくりつけた彼を見かけたら、是非熱い声援、応援、支援を、よろしくお願いします!


おととしの7月にゲストハウスをオープンして、3回目の夏がすぎました。
この夏、8月の1ヶ月間だけで、延べ175人のお客様にご利用いただきました。もちろんこれは1ヶ月の利用者数で、ミンタロハットはじまって以来の新記録です。
毎日、いろんなお客様を、迎えては、見送り、
それは出会いと別れの繰り返し、そして感動の連続でした。
中でも、私自身が驚きうれしかったことは、一度お泊りいただいた方が、この夏のうちにまたおいで下さるということが多かったこと…
お帰りなさい! とお迎えする嬉しさ!
結局、最後にはまた「気をつけて、いってらっしゃい!」と、お別れしなければならないのですが…ね。
みなさんがまた山形を訪れたときに、「お帰りなさい!」と変わらず元気でお迎えできるように、ミンタロハットは、ずっとずっとがんばっていなければ、と感じた夏でした。
この夏出会ったすべての方々に、あらためて深く感謝します。
ありがとうございました。
そして、どうぞこれからも、末永くよろしくお願いします。
